- 「夢女子」の恋愛観に関する研究
本研究では,「夢女子」を自称している青年期の女性の恋愛観を明らかにするために質問紙調査とインタビューの2つ調査を実施した。質問紙調査では,夢女子群と一般青年群で恋愛に対する価値観に大きな違いは見られなかったが,夢女子は「推し」に対して独占欲を感じたり,同じ人が好きな人(同担)に嫌悪感を覚えることが示された。インタビュー調査では,夢女子が「推し」に対して抱く感情は恋愛感情あるいは擬似的な恋愛感情であることが示唆された。
- 大学生および10代青年の予期せぬ妊娠に関する心理学的研究 --自己開示と援助要請,逃避する男性の心理,そして支援に焦点を当てて-
本研究では「大学生および10代青年での予期せぬ妊娠を経験した女性の内的体験と心理支援のニーズ」「パートナーの予期せぬ妊娠から逃避行動を選択する男性の心理的状態」を検討した。質問紙調査では大学生637名を対象に、大学在籍中の妊娠経験、自己開示と援助要請などの内容から構成されるアンケートを行った。その結果、大学在籍中に妊娠を経験した女性は19名、男性は22名であった。そして女性は、もし予期せぬ妊娠をした場合、親しい友人への開示は異性との交際経験があること・性的リスク対処意識が正の影響を与えていた。家族への開示には、家族からのサポートが正の影響を与え、友人からのサポート・年齢は負の影響を与えていた。援助要請は家族からのサポートの影響が有意であった。男性は、親しい友人への開示は友人からのサポートが正の影響を与えていた。開示抵抗には、将来に対する目標の持たなさ・事態の深刻度影響度の評価は正の影響を与えていた。家族への援助要請には現実の充実感・目標指向性が正の影響を与えていた。インタビュー調査では、10代で予期せぬ妊娠を経験した2名を対象に実施した。その結果、信頼できる大人や友人が身の回りにいると援助要請が促進されることや、実際の妊娠出産子育てのメリットデメリットを経験者から説明があると将来のことを想像しやすいことから、そのような支援があるといいことが示唆された。また,性教育の普及や見直しを行うことも重要であると推測する。
- 類似度の低い他者に対する自己開示を促進させる要因の検討
本研究では、対人不安、ソーシャルスキル、視点取得、柔軟性についてのアンケートを取って分析を行い、これらの要素が類似性の低い相手に対する自己開示を促進あるいは抑制するのかを検討した。大学生116名を対象に質問紙調査を行った結果,自己開示得点を目的変数とする重回帰分析では,困難な経験についての項目から構成されているレベルⅡでは非類似度と対人不安、非類似度と視点取得の交互作用が有意であり、決定的ではない欠点や弱点についての項目で構成されているレベルⅢでは非類似度と対人不安、非類似度とソーシャルスキルの交互作用が有意であった。レベルI〜レベルIVの合計である自己開示得点では非類似度と対人不安の相互作用が有意であった。そこで、有意差がみられた変数について単純傾斜分析を行った結果、レベルⅡ、レベルⅢ、自己開示得点では、対人不安が低い場合は類似性が低い相手に対する自己開示が促進される可能性が示唆された。また、レベルⅡとレベルⅢでは、視点取得が高い場合は類似性が低い相手に対する自己開示が促進される可能性が示唆された。
- 推しに対するコミットメントが推しのスキャンダルへの反応に与える影響
本研究では「推し」に法律的に問題のない熱愛スキャンダルが起きた場合のファンの推しへのコミットメントや熱愛スキャンダル後の反応などについて研究した。web質問紙を用いて 118名を対象に調査を行った。推しのジャンルや三次元の「推し」の有無、研究室で作成した「推し」へのコミットメント尺度、出来事インパクト尺度を元に作成した熱愛スキャンダルへの反応尺度,およびスキャンダル発覚後に推し続けるかをデータとして収集した。「推し」へのコミットメント尺度を用いてクラスター分析によって参加者を群分けした結果,6つのクラスターに分けられた。次に,三次の推しがいると回答した 77名を対象に、推しの熱愛スキャンダルへの反応を比較した結果、推しへのコミットメントが高い群では,スキャンダルを受けて心身に大きく影響を受けることが示唆された。
- 慰めの受け取り方による感情と愛着スタイルの関係性
本研究では,大学生を対象に親しい友人から受ける慰め方の違い(「励まし」,「共感」,「何もせずそっと離れる」)による,慰めの受け手に生じる感情の違いと,その要因として愛着スタイルについて検討した。大学生181名を対象に,親しい友人からの慰めに対する反応,および愛着スタイルなどを測定する尺度から構成されるアンケート調査を実施した。分散分析の結果,慰め方のうち,共感が最も感謝の得点が高かったことから,受け手の状況と気持ちに寄り添う対応である共感は好意的に評価されやすいと考えられた。また,自責の感情で愛着スタイルの主効果が有意であることが示され,恐れ型は慰め方によらず,親しい友人からの慰めに対して自責が高くなることが示唆された。最後に,愛着スタイルが慰めに対する評価と感情に与える影響を検討するためにパス解析を行なった結果,見捨てられ不安が自責に正の影響を与えていることから,見捨てられ不安が高い者は慰めを同情として受け取ることや,対人不安,自尊心,依存が慰めに対する反応に関係していることが考えられた。
- 自尊感情の脆弱性と目下の者への攻撃性について
本研究では、自尊感情の脆弱性と目下の者への攻撃性について検討を行った。大学生150名に質問紙調査を行った結果、学習成績や仕事の成果によって自尊感情が変動する者は,目下の者への攻撃性が高くなる傾向が示された。また、他者評価、外見的魅力、倫理観によって自尊感情が変動するものは、目下の者への攻撃性が低下する,逆に言えば,他者評価、外見的魅力、倫理観によって自尊感情が変動しない者は目下の者への攻撃性が高くなる傾向が示された。今回、自尊感情の脆弱性が目下の者への攻撃性に関係すると予測したが,自尊感情が変動する要因の違いによって、仮説とは異なる結果が得られた。今後は共感性という要素を付け足し、目下の者への攻撃性について検討を行う必要があるだろう。